原型のプロフェッショナルを魅了する
西のカリスマ造形ショップ&オーナー
ホビー店:怪物屋
吉尾さん:リュータービットの先の丸いものとか電動工具についているクロスさんのダイヤモンド工具は、レベルの差が顕著にあらわれます。これはひょっとすると一生保つかもしれないな、と。こういう溶着方法で、いいダイヤモンドでやったホビーツールがこれまであまりに日本にはなかった。そしたら玉村さんが、「実は僕こういうのやってるんですよ」って教えてくださって。僕はもともとアメリカに行って、ホビーツールを買っていたんですが、それがけっこう長持ちだったんですね。日本で一般的によく売られているダイヤモンド工具を使うと模型1個の完成まで保たないんです。
使い慣れた形状で常に切削性が変わらない方が、コントロールしやすいし、自分の求める面を出しやすい。
電動の次に、粘土の造型ジャンルで一番使われているのがパジコさんのステンレス細工棒だったので、そのヤスリがあったらもっと表面仕上げが楽になるな。このダイヤ塗装のステンレス細工棒はプラモデルにも使えるんですよ。飛行機のプラモデルとかって三次局面だらけなんで、ボディと羽の間が削れたりするんですよね。そういう部分の継ぎ目消しをみんなやりにくそうにやっている。だから、こういう曲線を持ったスパチュラにダイヤモンドやすりをつけたらいいなと。
また、プラスチックモデルの金型なども、スパチュラ形状のヤスリを使っていたりします。シェア的には彫金含め、非常に多様に使えると思います。
パジコ木村:そりゃ、本当にありがたいお声ですね。
吉尾さん:作品をつくるほうもありがたいはずなんですよ。最後まで仕上げができるので。これまでのサンドペーパーは削りたくないところまで凹んだりするんですよね。 実は、(ごそごそ)僕はこういうのを自作していまして(秘密)。
現在のところ企業秘密ですが、とてもいいアイデアの吉尾氏のツール。
パジコ木村:おお!これは!!
吉尾さん:コレを自由に切ってですね。鋭角のところを出すんですね。これを切って鋭角にすると、削りたいものの際まで行くんですよ。便利でしょ。ずっとプラモデル作ってて車のボディの窓の部分の削りにくい部分の仕上げができるんですよね。これは垂直が綺麗に出るんですね。だから、垂直はコレ。三次局面はスパチュラだといいなあと。
パジコ木村:ほほお!これは使いやすいですね。しかし、こうやって違いのわかるいい製品を作っても、安い外国産に圧される状態なのが辛いですね。
吉尾さん:そうなんですよ。いまのホビー人口は子どもより大人の方が多いんですけど、チープに抑えすぎなものが多くて。本当に大人が使う道具ですから、ずっと使えるほうがいい決まっているんですよ。ところがすぐにだめになり、結果的には毎回買い足して高価なものになる。「コレ!」っていうものを買って、長く使っていくうちに本当に自分の道具になっていくのが本当の道具だと僕は考えているんですよね。
パジコ木村:道具って本当にそうですよね。昔のデザイナーは面相筆を1本使い出すと、慣らすまで大変なんですよ。うっかり切ると、一本の毛でも使えなくなっちゃってねー。 しかし、ご趣味で現在のこうしたお店をなさっておられて、ここまで多くの原型師の方がいらっしゃるのはすごいですね。
店内には優れた造形作家の作品がところ狭しと並ぶ。
大山竜氏の作品。LEDを内部に点灯させたゴジラ。